里山に抱かれる家
リビング。
畳のスペースとフローリングのスペースをロールスクリーンで簡易に区切ることが出来る。
高い山に接していて日照時間の短い土地であるが、ハイサイドライトで効果的に採光している。
通風も良く、夏はほとんどエアコンを使わないとか。
実家の農家で、両親の住む母屋(オモヤ)に接して住むにあたり、既存建物を改築するべきか、建替えるべきか、予算内に収まるか、市街化調整区域で建築可能か、等疑問点がたくさんある。
ハウスメーカーや地元工務店にも相談したが、希望する家が実現出来るか不安。
疑問点について、いろんな事例を示しながら分かりやすく説明してくれた。
似たような条件で好みのテイストで建てられた実績があった。
設計の方針を固めるまでにかなりの時間をかけた。離れの改築、建替え、母屋の一部増築等いくつかのプランと費用、手続きにかかる時間等を提示するなど、常にいろんな選択肢を用意するよう心掛けた。
親世帯と子世帯が隣接していても気兼ねなく暮らせるような距離感を確保すること、農村風景に馴染みながらも、若い家族の新しい暮らしにふさわしいような空間をつくること、を重視して設計した。
予算に限りがあったので心配していたが、理想的な家が出来て大満足。
こだわりのある部分を実現するために、設備機器の施主支給やDIY(塗装)等を提案していただき、しんどくもあったけれど、よい思い出となり、家に対する愛着も湧いてきた。
南側外観。東端の建物が建て替えた離れ。
伝統的で重厚な既存建物と馴染ませつつ、新しい要素を加えている。
東端の白いキューブは2階寝室。
夜景。
集落入口の三差路に接しているため、プライバシーに配慮して開口は抑え、落ち着いた外観としている。採光は道路から見えないハイサイドライトにより確保している。
玄関。
限られたスペースの中でも広がりを感じられるようデザインした。フルハイトの玄関収納、靴を履くときのためのベンチを設けている。
子どもの様子を見ながらキッチンで作業できる。
扉を閉めればキッチンを隠すことも出来る。
左端の扉の奥は子ども部屋。右の扉を開けると2階へ上がる階段、右端の扉を開けると洗面やトイレへつながる。上部の扉の奥には屋根裏収納がある。
道路から見える屋根の裏側はルーフバルコニーになっていて、季節によって色が変わる里山や棚田が見渡せる。このバルコニーは道路からは見えず、見晴らしがよいのに、プライバシーの高い空間となっている。
リビングからつながるウッドデッキ。
格子で覆われていて、道路とリビングの間の緩衝帯となっている。一部は、洗濯物干し場として利用されている。
洗面脱衣室。
ローコストなオリジナル洗面台。塗装は施主DIY。